紅茶の誕生 その1

茶は、製造方法の違いにより、紅茶、緑茶、ウーロン茶 に分けることができます。

茶葉中の酸化酵素の働きを利用し、充分に発酵させたものが紅茶、すぐに加熱処理し全く発酵させないものが緑茶、部分的に発酵させたものがウーロン茶となります。

では、この紅茶はどのように誕生したのでしょうか。

チャ樹と喫茶法が、はじめて「伝説」として歴史に登場したのは、紀元前2737年。最初に誕生した茶は「緑茶」だったと言われています。

これに次いで、16世紀以前から最古のウーロン茶と推定される、武夷岩茶(ぶいがんちゃが誕生しました。これは、とても希少な産物で、皇帝への「貢納茶」として著名なものでした。そして、紅茶の原型とも言うべき発酵茶が出現します。
これは、緑茶の生産過程のいずれかの段階で、生産管理の正しいマニュアルがなかったことから、自然に発酵が進みすぎてしまった粗悪品だったと推定されています。

kimon元々中国は緑茶の消費が中心だったため、この粗悪品は無用の品でした。
そこで、西洋から来た茶商人達に、緑茶の取引と同時に、この粗悪品を「武夷茶」と名付けて売りつけていたらしいのです。しかし、この発酵した武夷茶は、緑茶の刺すような刺激がない、砂糖やミルクと相性がよい、何杯にも煎が効くなどの特徴があったため、イギリス人は次第に緑茶から離れ、ウーロン茶やさらに強く発酵した茶に対して興味や関心を示すようになりました。

このようなイギリス市場での需要の変化を受け、ウーロン茶をより強く発酵させた祁門(キームン)紅茶が中国で誕生することになります。

ここで面白いのは、西洋人達が、失敗から偶然生まれた紅茶の原型を美味しいと感じ、そこから独自の文化を作り出していったところですね。
最後に、「緑茶が中国からイギリスにインド洋を通って船で運ばれていく途中に、赤道を通過してくるため、湿度と温度が高くなり、発酵して紅茶になった。」という説を聞いた事はありませんか?
ここでお話しましたように、緑茶は茶葉を摘み取ってすぐに加熱して発酵を止めてしまうので、緑茶として加工されたものが、発酵茶である紅茶になる事は、あり得ないのですね。

(文責 しばた)

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