
「お・も・て・な・し」
東京へのオリンピック招致の際に流行したこのフレーズは、きっと皆様の記憶に新しいのではないでしょうか?
日本の代名詞ともされるこの「おもてなし」は、言葉の通り「客をもてなす」の「もてなす」からきている事をご存知のかたも多いと思います。
「もてなす」の語源は「モノを持って成し遂げる」からなり、お客様に応対する扱いや待遇のことを指します。ここでいう「モノ」とは、目に見える物体と目に見えない事象の二つを指していて、まるで哲学の世界です。それにもうひとつ、表裏がない心でお客様を迎えるという意味もあります。
以上の二つが合わさったものが「おもてなし」の本来の意味になります。これまで何気なく使っていた言葉もこうやって紐解けばなる程と納得して使えますね。
ここで「サービス」という言葉を敢えて出して比較してみます。
おもてなしとの違いとは一体何なのでしょう?
食事やお茶をする時のお店を思い出して頂くと解りやすいのではないでしょうか。例えば、おしぼりやお水はどこのお店でも出てきますが、そのまま出される場合をサービスと呼び、「外は暑かったでしょう?冷たいお水をどうぞ。」などと笑顔で差し出されると、その空間がとても爽やかになります。それも、ひとつのおもてなしだと呼べるのではないでしょうか?
つまり、お客様にとって想定内のことはサービスでしか無く、お客様の期待をいい意味で裏切るような気遣いこそが「おもてなし」という訳です。
難しい事は何もなく少しの心遣いで単なる「サービス」になったり、「おもてなし」になったりするという事です。日本人は心遣いが細かいと、よく海外の友人が褒めてくれますが、中にはサービス程度(あるいは以下)にしか対応できないお店もあって、そういう時はせっかくのお料理やティーも美味しさは半減してしまいます。
気持ちひとつで同じものが美味しくなるなら、ぜひ心を込めてお出ししたいものですね。
(文責 岩橋)