ハーブティーの定義

そもそもハーブティーとはなんでしょう?
ティーといえば、茶葉ことカメリアシネンシスとういう学名の植物を加工した飲み物が中国で生まれ、日本に渡り、そしてヨーロッパに伝わっていきました。そしてイギリスに渡りティーと呼ばれるようになったことは知る人ぞ知るところです。

では、ハーブは?

ハーブに関しては諸説あります。
紅茶の世界では有名な下河邊氏は著書の中でこう、記していらっしゃいます。

「ヨーロッパでは、伝承の植物をハーブとよび、十字軍以降にもたらされた外来のものをスパイスといい、つづいてもたらされた茶、コーヒー、ココアはそれぞれに外来の言葉そのままに表現しています。」と。

正直、現在ハーブとスパイス、2つの境界線は曖昧となってはいますが、現在でもこの記述通りの分け方をする場合が見受けられます。

ハーブを知る方ならご存知のカモミールやリンデンなどはハーブと呼ばれ、カルダモンやシナモンは一般的にはスパイスとして認識されることの方が多いようです。また料理の食材として使われるハーブをキッチンハーブ区別したりもしていますし、はたまた、薬草として代替療法の分野で活用するハーブをメディカルハーブと分けたりしています。

ハーブティーとお茶の違いとは?という問いに関しては、

難しくいえば、ハーブティーとは何であるかを明確に規定する必要があると思われますが、ティーという概念に植物を煎じたり、抽出したりした液体が含まれるのか?と言われれば、これまた諸説あるようです。

ここではごく常識的な判断で、ハーブティーを理解したいと思います。
つまり、カモミール、リンデンなどのハーブを茶のように煎じて飲む飲み物で、もともと、おもに古代ヨーロッパで病気の治療や予防に薬効があるとされていた植物の葉、種子、花、茎、根、樹皮などの植物の一部あるいは全草を使った浸剤と定義しましょう。

近世以降、カメリアシネンシスという植物から作られた飲み物である茶が嗜好品として急速に発展したので、ティーという言葉はその使用の幅を広げ、同時にそれまでそれぞれ植物名でよばれていた煎じ薬がハーバルティー(ハーブティー)という呼称に括られてしまったと理解しています。

ハーブティーとお茶の区別もまた曖昧ですが、ひとつの区別として、嗜好品としての飲み物なのか、あるいは薬効を重視した飲み物なのかという点で区別ができるのかもしれませんね。

近年科学が発達し、多くの自然のものからヒトに有効な成分が発見されるようになりました。また嗜好品と呼ばれているものからも有効な成分が見つかり、最近ではハーブティーを嗜好品として飲むということも珍しくなくなってきたため、現在ではこの線引きはとても曖昧です。

薬効という観点から、過去にはヨーロッパには無かった植物に対しても近年はハーブと呼ばれるようになっています。具体的には、よもぎを和のハーブと呼んだり、漢方やアーユルヴェーダで使用する植物をハーブとしてとらえたり。。

ハーブとスパイス、ハーブティーと茶の区別は、近年非常に曖昧になっています。
しかしお茶を楽しんだりハーブを利用する際に、これらを区別する必要は特別ありません。もしこれらの区別について疑問に思われていたのでしたら、ヨーロッパの視点によるこの区別の仕方は、ひとつの回答になるのではないかと思います。

私たちの協会には、様々な飲み物の専門家が集います。その中で、「ハーブティーをより理解し、より楽しめるメソッドや知識、スキル」を学んでいくカリキュラムやマイスターと呼べる職人さんを育成していくことで、広くハーブティーを普及出来たらと考えています。

(文責 橋口)

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